こんにちは。orbitexです。
前回よりラグを選ぶ際の素材のお話をさせていただいておりますが、前回はウール・シルク・コットンと、天然素材の代表的な3つの素材について、ラグになった時のメリットとデメリットを個人的な意見も踏まえて書かせていただきました。
今回は、天然素材の中でも麻系の素材に絞って紹介していけたらと思ってます。
● Jute ●
ジュートは麻の一種で、田麻(シナノキ)科の一種で黄麻やインド麻なんて呼ばれたりもしていますが、一年草本の茎からとった靭皮繊維です。
穀物なんかを入れる麻袋として使用されているのを見たことがある方も多いかと思いますが、通気性・吸水性に優れた繊維です。
ラグにもよく使われますが、私達が麻と聞いてすぐに連想するあのチクチクっとした感じがあまりないので、ご自宅用のラグで麻素材のラグを探されている方はほとんど当店でもJUTEをお選びいただくことが多いです。麻素材のラグの中では、日本人には一番使い易い印象を持っています。
ジュートは伸度が少ない為、寸法の安定性に優れているので、世界のタフテッドカーペットの生産量の4分の3は裏地にジュート素材を用いているとも言われています。想像しただけでもすごい量。
ジュートは、光合成が盛んな植物としても知られていますが、二酸化炭素の吸収量は平均的な木と比べると約5~6倍にもなると言われています。
また、繊維になるまでの工程で(水分を含む)95%は廃棄物となってしまうわけですが、それらは、土壌に還元されるという驚きの素材で、ジュート製品は焼却処分しても有害な物質を出さず、土中に埋めてもバクテリアによって完全分解され地球を汚染しない地球に優しい素材として世界中から注目されています。
環境問題に興味のある方は、まず選びたくなる素材のようにも思います。
● Sisal ●
サイザルは、葉脈繊維からなるJUTEと同じ麻の一種ですが、JUTEと比べると麻特有のチクチクっとした感じがします。
日本の住宅にはちょっと肌触りが強いかなとは思いますが、スリッパ派の方はあまり気にならないようです。
ただ、女性のお友達が遊びに来た時に気になるのがストッキングです。
手で撫でた時にチクチクした感じがすれば大概のストッキングは伝線が怖いので、床座りには気をつけたいですね。大きめな座布団等を置くか、スリッパを履いてもらってソファやチェアに座ってもらった方が安心かなと思います。
サイザルは硬い性質を持ち、麻ロープ等に使われることが多いですが、特に水中での腐食に強いので船舶用のロープなんかに使われたりもしています。ラグ文化の長い諸外国の方達は土足生活の方も多く、ラグとしても大変人気の素材です。
日本でも、オフィスや商業施設等で使用する場合にはこのくらい強い素材の方が良いかなとも思います。素足と土足とでも違いますが、4.5人の家族で使うのと、不特定多数の方に一日中踏まれ続けるというのは、ラグにかかる負担は比になりませんので。
怪我をする程硬い訳ではないのですが、小さいお子様のいらっしゃる方やペットを飼ってらっしゃる方、ラグの上でゴロゴロするのが好きな方は、もう少し柔らかくて肌触りの良い素材を選びたいですね。
● Abaka ●
アバカは、マニラ麻なんかとも呼ばれていますが、和名では糸芭蕉とも呼ばれ、沖縄の伝統工芸として知られる重要指定文化財に指定されている芭蕉布に使われている素材です。
芭蕉布に使用される糸芭蕉は手間隙かけられて、糸になる迄に20程の工程を経て作られるそうですが、アバカ自体はバショウ科バショウ属のバナナによく似た植物の葉脈繊維からなります。
分類上では麻の一種ではないのですが、見た目は麻と本当によく似た雰囲気です。
製品になると、より麻っぽい表情になるので雰囲気としてはナチュラル・リゾート系の雰囲気を出すのが得意です。最近、古民家系のホテルやお家の方に麻系のラグを検討される方が、とても多く感じます。畳だと和に寄りすぎちゃうなという方に、寄り過ぎずに馴染む感じが丁度良いですよね。
個人的な感覚でお話しすると、ABAKAはJUTEとSISALの間のような質感に感じます。JUTE程柔らかくはないですが、SISAL程チクチクしない印象を持っていますが、正直メーカーの製法によって同じ素材でも全く違った質感に感じることもありますし、糸を紡ぐ際の細さや工程によっても仕上がりに大きな差が出るので一概には言えないのですが。。
また、水にも浮くと言われる程の軽さが特徴で、最近はカゴバックなんかにもよく使われているので、知らなかったけど持っていたという方も多いのではないでしょうか。
● Othwe ●
上記の3種類以外にも、LINEN(リネン)やRAMY(ラミー)、HEMP(ヘンプ)等、有名な麻素材はまだまだあります。リネンやラミーは、夏は特に衣料品や寝具用品として人気の素材で、聞いたことのある方非常に多いと思います。ラグになるとキルトなど、絨毯というよりは布を敷いているように見えるものが多いように思います。
ヘンプも衣料用として使用されていましたが、古来より神聖な繊維とされ、神社の鈴縄のような神事にしようされてきた素材。
どれも、ラグとしては珍しい素材です。
ヘンプのラグは稀にありますが、染色性には優れているので、お色味も出しやすい素材ではありますが、
あっても希少な繊維なのでとても高価です。
リネン・ラミー・ヘンプに関しては、衣料品としても使用される程、肌触りには期待が持てますが、
皆さんが麻のラグと聞いて思い浮かべるようなテクスチャーのはっきりしたものは少ないように思います。
● 麻ラグまとめ ●
麻にもいろんな種類があるけれど、ラグとして使用されているのはJUTE・SISAL・ABAKAがほとんど。
どれをとっても調湿効果に優れ、暑い夏もさらっと快適にお過ごしいただけますし、JUTE・SISAL・ABAKAのラグは南国リゾートの雰囲気を醸し出したり、古民家系の和モダンな空間にも相性が良い物が多い。
個人的にはご家庭用ならJUTEかHEMP、ホテルや商業施設にはSISALがオススメですが、デザインや仕立ての好みなどでお選びいただくものも変わってくるかと思います。
どうしても秋冬に違和感を感じる方も中にはいらっしゃいますので、そういった方には、麻×ウールのように異素材を組み合わせたラグや、周りの縁だけを違う素材で巻いてみたり、いろんなことができますので、生活スタイルに合わせてご提案させていただいています。ラグのこと、どんなことでもご相談いただけますと幸いでございます。
前回から2回にわたり天然素材のラグについてお話をさせていただきましたが、次回は、化学繊維にスポットを当ててみたいと思います。
引き続き、チェックしていただけたら嬉しいです。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。