失敗しないラグ選び〜素材編3〜

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約7分

こんにちは。orbitex AOYAMAです。
更新が遅くなってしまいましたが、以前より、少しでもラグ選びのヒントになればということで始めた失敗しないラグ選び〜素材編〜ですが、いよいよ本日が最終回です。

前回、前々回は自然素材にスポットを当てて紹介してきましたが、本日は化学繊維の紹介をしていけたらと思っております。

● Polyurethane ●

皆さん、ポリウレタンという素材をご存知でしょうか。
品質表示をご覧いただくと意外に身の回りにあるポリウレタン。ポリウレタンは、革に似せた合成皮革を作る際に使われたり、ストレッチの効いたボトムや、ストッキング、トレーニングウェア等に使われることが多いです。
ポリウレタンの原料は、グリコールとジイソシアネートという化学物質で、ゴムのような性質を持つ繊維は、化学繊維の中でも珍しいそうです。
ポリウレタンの繊維は、単体で使われるよりも他の繊維と組み合わせて複合繊維として用いられることが多く、上記に挙げた合成皮革のような質感を出したい時は上からコーティングとして使われたり、ストレッチ製の製品を製作する際にはポリウレタンを芯としてその外周にコットンを巻きつけて糸を作っていくとストレッチ製に優れた加工糸ができます。

フェイクレザーのお洋服やバックなど、品質表示がポリウレタンなことが多いです。当店でもポリウレタンのラグは、お客様に「革ですか?」と聞かれたりもします。見た目は確かに、初期の頃なら尚更、本革のような質感に見えます。ただ、私も経験がありますが、フェイクレザーのジャケットを買ったら、気が付くと何かジャケットの表面がポロポロしてきたなんて経験ありませんか?
これさえなければなんて思ってしまいますが、天然素材を再現するって、容易ではないと思いますし、やはり天然素材はすごいと思ってしまいます。

普段のお手入れに関して比べてみると、ポリウレタンは撥水性に優れているので、水拭きなどが気軽にできて便利ですが、上記のような特有の劣化が始まったり、物によってはラグ自体が固いものも多く、日本のクリーニング屋さんでは、乾燥機を通らないなどと言われて断られたこともありました。その際は、違うお店を見つけることができましたが、どこでも気軽に出せるものばかりではないんだなと思いました。

絨毯くらいのサイズになってくると本革仕様だとかなり高額になりますので、ペットを飼ってらっしゃる方や小さなお子さんがいらっしゃる方、数年でお買い替えを考えてらっしゃる方なら、ポリウレタンでいいという方も
いらっしゃいます。

● Polyamide ●

ポリアミドと聞くとあまり馴染みがないようにも感じますが、NYLON(ナイロン)というと聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
海外メーカーだけでなく国産のメーカーさんでも、ポリアミド製のラグ、最近とてもよく見かけます。

ポリアミドは、もともとプラスチックの種類を表すもので、ナイロンはポリアミドの中の1種です。
ただ、アメリカのデュポン社が開発したナイロン6,6は世界初の合成繊維として一気に世の中に拡まることとなり、一般的にはナイロンという名前の方が耳にする機会が多いように感じます。
繊維の特徴としては、吸湿性が低い為速乾性があり、繊維自体に弾力性があるのでシワになりづらく、伸縮性も低く型崩れなどもしづらく、お洗濯もし易いので、衣類にもよく使われる素材です。
また、軽いのに丈夫で摩擦にも強いので、自動車のパーツや釣り糸などに使用されています。「蜘蛛の糸より細く、シルクより美しく、鉄より強い」という言葉で一世を風靡したそうですが、この謳い文句を考えた方、凄いと思ってしまいました!笑

ポリアミドの原料は石油で、摩耗・摩擦にも強い性質を持ち、酸性以外であれば耐薬品性にも優れているので、染色もしやすい繊維です。
衣料品として使われることが多いのも納得です。また、速乾性に優れ、カビなども起きづらいメリットも持っていますので、衣料品だけでなくラグの場合にも有難いポイントです。
ただ、気になるのが日焼けというか、黄色っぽい感じに変色したりするので、ラグの場合は置く場所と選ぶ色には気をつけたいですよね。

それと、ナイロンもやはり天然素材と比べるとやはり化学繊維なので、静電気は気になるところ。
ラグとなるとゴミ離れ、メンテナンス性が気になります。

● Summary ●

いかがでしたでしょうか?
3回に渡り、麻系・ウール・コットン・化学繊維と分けて、当店で扱っているラグの素材のお話をしてきました。
素材の特徴ももちろん大事ですが、ラグだとどうなの?という疑問が、少しでも解決されたら良いなと思って書きました。

また、当店で扱っているラグのほとんどは、天然繊維から作られています。
その理由は、ゴミ離れが良いというのと肌に触れるものというのが大きな理由です。

ラグは、防音・防汚・防傷等の目的で使う方も多いですが、目に見えない空気中の埃を落ち着かせるという役割も果たしますので、空気中に舞う埃は軽減されますが、その分ラグの掃除は欠かせないのです。
なので、ラグ自体のお手入れがしやすいとお部屋中が常に清潔な状態を保つことができますし、お掃除の時にも時短になります。そして、毛足の長いものになると特にわかりやすいのが復元力。やはり天然素材はすごいの一言です。個人的には、地球に優しい素材というのも大きな魅力に感じています。

当店では、一部化学繊維の組成のラグもあるのですが、圧倒的に自然素材の方が人気なので、ほとんどお見せする機会すらありません。
ですが、せっかくなので今回化学繊維についてもいろいろ調べてみました。
歴史の古い天然素材に比べてまだまだ目紛しい発展を遂げている化学繊維業界。
少し前から防菌・防ダニはよく見かけましたが、それってゴミ離れが悪いからそんな加工するんでしょって思ってたんですが、先程お話しした静電気などを起き辛いように加工した化学繊維や、黄変しにくいナイロンなど、想像以上に開発が進んでいました。

ブログを書いているうちに細かいことが気になるようになりましたが、調べれば調べるほど、最終的に辿り着くのは分子記号で。。
化学繊維と一言で言っても、いろんな繊維や組み合わせ、比率などによって様々な特徴を持つ繊維ができること、それを研究されている方がこんなにいるのかと、当たり前のことですが考えもしなかったので本当に驚きました。
ラグに置き換えても、同じポリアミド製でも若干コットン混ぜていたり、若干ウールを混ぜていたり、逆に少しだけポリアミドを混ぜていたりと、生産者側の意図によって生成される糸の特徴が著しく異なります。
なので、もし化学繊維のラグの購入をお考えの方がいたら、メーカーになぜその組成にしたのかを聞いてみると、どんなメリットがあって、作り手の方が何にこだわったのかを感じられると思います。

こちらがポリエステル
こちらがコットンとポリエステル

化学繊維が良い悪いということではなく、何のどの部分を比べるかによって、その答えは変わります。
これまで、いろいろな素材のお話をさせていただきましたが、何が一番良いというのは、使う人それぞれなので、この繊維が一番良いですと言い切れないことをお許しください。

ただ、やはり化学繊維の印象は長く使っているとヘタリ等の劣化が出やすいイメージがあるのも事実です。
また、当店でも扱っている天然繊維×化学繊維という組成のラグも出てきて、無いものを補い合い、より最適な繊維を開発されているメーカーさんも沢山いらっしゃいます。

自然繊維 VS 化学繊維

まだまだ私は自然派ですが、新しい素材などが出てきたら是非調べてご紹介したいと思っています。

あなたは、ラグを選ぶとき何から決めますか?

今回で、素材編は一回締めたいと思いますが、番外編で革等も紹介していけたらと思っております。
本日も最後までお付き合いくださり誠にありがとうございます。

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